レーシングライダーの生活をお伝えします
2月1日(水)
 順調にテスト2日目をこなす。ホンダ勢がみんな速い。僕たちも何とかしなくちゃ……。でも、こういう合同テストだとライバルとの比較ができ、いい目標になる。
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2月2日(木)
 テスト最終日。タイヤテストもほぼ終えて、予選用タイヤでタイムアタック。いいタイムが出てチームスタッフが喜んでくれたし、僕自身も満足いく内容のテストになった。
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2月3日(金)
 日本に向けて出発。今日のうちに成田に到着した。

2月6日(月)
 自宅でライディングスポーツ誌の取材を受ける。「レーシング撮影教室」でおなじみの瀬谷カメラマンが来てくれて、バッチリ写真を撮ってもらったので期待していてください。

2月7日(火)
 東京で行われたカワサキモータースジャパンのディーラーミーティングに出席。全国の優良ディーラーが招待されるパーティで、トークショーのゲストとして出演した。
 司会の方に「今、気になるバイクは?」と聞かれたので、「やっぱり僕が乗っているMotoGPマシン、ZX-RRに一番近いZX-10Rですね! レース活動が縮小しないように、たくさん売ってください」と答えた。KMJ社長もいたので、アピール、アピール!
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2月8日(水)
 茂原ツインサーキットで行われた、ジャーナリストの方たちを集めてのカート大会に参加。集まった各誌の方たちは顔見知りばかりだし、個人的にはかなり前からこのイベントを楽しみにしていて、昔使ったカート用シューズやグローブを引っ張り出してきてレースに臨んだ。
 このサーキットは、その名の通り、車が走れるような大きな東コースと、カートコースの西コースの2つがある。僕自身、小5から15歳までミニバイクでお世話になっていたコースだが、ここ数年は4輪中心になっていた。少し前から東コースではバイクも走れるようになっていたが、今年から西コースでもポケバイやミニバイク、モタードなどが走れるようになるとのことで、僕としてもすごくうれしい。
 レースは2人1組でペアになっての耐久レース。僕はSP忠男社長の忠さんと組んだ。僕たちのチームは練習、予選と絶好調で、両セッションともトップタイム! 予選ではさらにタイムを更新しようとしたが、アクセルワイヤーが外れるというトラブルが発生してコース途中で止まってしまった。それでもポールポジション獲得だ!
 そして決勝スタート。「少しはジャーナリストの方たちにも花を持たせないと。大人げなく優勝したらいい記事が書いてもらえないかもしれないし」と、ライバルのヤングマシン組を先に行かせて戦況を見ることに。ところが走っているとモトチャンプ組や編集王をさせてもらっているミスターバイク組などなど、お世話になっている方たちばかり。そちらに気を取られているうちに、2位のままで忠さんにバトンタッチとなった。
 忠さんはすごく速くて、ドライバー交代の間に一時はトップに立ったが、ヤングマシン組が実に大人げない! ドライバーは、ミニバイク時代に一緒に走ったこともある谷剛さんと、ヤマハ時代からお付き合いのあるジャーナリストの高橋剛さんというGOGOコンビ(谷さんはツヨシだけど)。谷さんはバイク用のレーシングスーツを着用し、GOタカハシさんに至っては、参加者の中で唯一ヘルメット、スーツ、グローブ、シューズと上から下までカート専用品を持参してくる始末で、手に負えない大人げなさだ。結局この2人を抜けず、2位で終わってしまった。
 少々悔しさは残るけど、'04年のもてぎ以来の表彰台。ノンアルコールでもシャンパンシャワーができたからよかったかな。茂原はコースもキレイになって、レストランなどの施設もすごく整備されている。皆さんもバイクで走ったり、レンタルカートを楽しんだり、ぜひ足を運んでみてください。僕も時々モタードの練習でお邪魔しています。8月には全日本ポケバイ選手権・中野真矢杯も行う予定なので、ぜひよろしくお願いします!
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2月11日(土)
 いよいよトリノオリンピックが開幕! ライブじゃなかったけど、開幕式をテレビで見た。「イタリアだからフェラーリぐらい出てくるんじゃないの〜」なんて冗談を言ってたら、いきなりホントにF1が出てきた!「マックスターンで五輪を描いたりして」なんて言ってたら、さすがに五輪までは描かなかったけど、ホントにマックスターンをした!
 いや〜、モータースポーツが文化として定着していることがビシッと伝わってきますね! すごく興奮したし、うれしかった。でも日本じゃ無理なのかな、と思うと、ちょっと悲しくなった。

2月12日(日)
 再びセパンで行われるテストに向け、マレーシアをめざす。

2月13日(月)
 ホテルの近くにすごくおいしい中華料理屋さんがあるということで、日本人ジャーナリストの方たちと食事に行く。
 その中に、僕が子供の頃のヒーロー・宮城光さんも。宮城さんと会うたびに話をするのだが、かつて宮城さんが全日本で筑波を走った時に、僕は前座でポケバイを走らせたことがある。その時、宮城さんを応援していた僕は、子供特権でサインをもらいに行くと、「着替えてくるからちょっと待っててね」と立ち去ってそれっきり……。子供心にショックだった。
 今日もその話になると、宮城さん、「ホンッ……トに悪かった。だから、おまえもそういう悪いことしちゃダメなんだぞ」だって。

2月14日(火)
 ヨーロッパに渡る前としては最後のテストだ。かなり気合いが入っていたが、電気系の調整に戸惑ってあまり周回できなかった。ライバルがかなり速かったこともあって、不完全燃焼な1日だった。
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2月15日(水)
 今回は、前回のテストで使用したエンジンに加え、より高回転型仕様のエンジンも用意されていた。これは今年の僕たちの戦いの中で、大きなポイントになるエンジンだ。
 走り始めから結構いいタイムが出る。昨日のうっぷんもあって、かなりプッシュした走りをする。それにエンジンが応えてくれて、さらにタイムが出る。「行けるぞ!」と思えて、すごく気持ちよく走れた。
 後で聞いたら、2番手のタイムだったとのこと。「おー、すげぇ!」と思わず喜ぶ。テストの最終日は予選用タイヤを使うチームが多く、ベースの仕上がりの判断がしにくい。だから予選用タイヤをあまり使わないテスト2日目のタイムを意識していたからだ。
「よし!」と手応えを感じていたら、ジャーナリストの遠藤智さんが「真矢、トップタイムだったんだぞ」と教えてくれた。ドライのテストでトップタイムって、初めてじゃないかな?「よしきた!」とタイムを確認すると、5、6番手ぐらいまでほとんどタイム差なし……。ちょっと「アレ!?」って感じだったけど、でもやっぱりトップは気分いい。
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2月16日(木)
 テスト最終日。「走り込んで引き続きいいタイムを出すぞ」と意気込んでいたが、天候が崩れて午後から雨。今日は3番手だったけど、この3日間でマレーシアでのいいベースが見つけられたと思う。ヨーロッパのコースはまた条件が違うけど、このベースを生かしたい。

2月17日(金)
 日本に帰国。すぐヨーロッパに出発するので、あわただしく準備する1週間になりそうだ。

2月18日(土)
 何日か通っていた歯医者に行き、ようやくすべて治療完了!

2月21日(火)
 近所でお世話になっているバイク屋さんの店長と一緒に、またも茂原に行きモタードの練習をしてきた。もちろんMotoGPとは違うけど、バイクのいろんな挙動に慣れ親しむという意味でもいい機会になる。ヨーロッパではやるのも分かるなぁ。
 店長は抑え気味で行くのかと思っていたら、かなりイケイケでいきなり転倒!(もちろん僕は本業に響いたらマズイので、練習と割り切ってましたよ!)上手に乗る人だけど、テンションが上がっていたのかな? でも、バイク屋さんがいると安心感がある。コケても直せる人がいるって、素晴らしい。

2月23日(木)
 ヨーロッパ行きの準備に追われる。
 スペインテストの間は、今までのバルセロナのアパートを使うが、その後、トレーナーのフィリップが住むフランスに引っ越しします。

2月24日(金)
 日本を出発。今回はパリを経由してバルセロナへ向かった。夜のうちに到着。久しぶりにアパートに戻る時は、いつも火事で真っ黒焦げになってるんじゃないかと心配になる。おそるおそる建物を見ると、大丈夫そうだったので一安心。

2月26日(日)
 イギリスでフィジカルチェックを受け、その後アイルランドでのイベントに参加するので、夜、イギリスに向けて出発。

2月27日(月)
 イギリスでのフィジカルチェック。去年と比べると全体的な身体能力は上がったようだ。でも、ランニングしながらの持久力テストでは、去年とまったく変わらない結果が出た。先生も「うーん……、去年と同じ状態をキープできてはいるが……」とちょっと難しい表情。
 先生いわく「スプリンターなのか、エンデュランスなのかは、ある程度親から譲り受けるものだ」とのこと。僕の身体機能はスプリンターだということなので、「スプリントレースをやってるし、ちょうどいいんじゃないの!?」と思ったのだが、「全然そうじゃないぞ」とバッサリ。レースを戦うには、やっぱりもっと持久力をつけなくてはいけないそうだ。頑張ろうっと!
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2月28日(火)
 初めてのアイルランドへ。アイルランドでもMotoGPがテレビ放送されることになったそうで、その発表会への参加だ。ブリヂストンがスポンサーということで、BSユーザーのカワサキライダーが招待された。
 まずは北アイルランドの首都・ベルファストに行く。公道レースが行われる場所で、公道レースの英雄、故ジョイ・ダンロップの弟さんに出会った。弟さんも公道レースをしているそうだ。その後、ベルファストの小学校へ。交通安全絵画コンテストの上位入賞者にブリヂストングッズをプレゼントする役を務めさせてもらった。
 今日はちょっと忙しくて、今度は南下し、アイルランド共和国の首都・ダブリンまで車で移動する。ダブリンの教会を改造したレストランで、MotoGP放送の発表会が行われた。
 アイルランドについては事前にネットで調べてあったけど、北アイルランドではポンド、アイルランド共和国ではユーロが流通してて、同じ島なのに通貨まで違う。歴史的背景の複雑さを感じました。
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